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横山の新作の構造は、明快且つ直線的である:『トラベル』は、三人の登場人物の列車の旅であり、長い、静かな、簡素な描写
である。横山が手がけるこの本の主題は、車窓からの情景というより車中の人々の動きを表現することにある。言ってみれば、旅の中の旅である。発車とともに、登場人物は車両から車両へと移動を始める。その過程で、様々な場面
に出合う。電車の内装や仕組みを垣間見せ、人々の目、そして、他の乗客の存在もある:車上では、人が通 り、すれ違い、お互いを見、邪魔し合い、時には、ぶつかり合う。この横山の描く『トラベル』は、乗客の"顔"を通
じての旅である。『トラベル』は、肖像や状況の連続を表現しつつ、最後には、目的地があることを期待させる。
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